2014年01月13日

富士登山に必要な装備と情報

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今年の夏は富士山に登るぞ!という登山未経験者、または初心者の方もいると思います。という事で、富士山とはどういう山なのか?どういう装備や準備が必要なのか?を書いてみたいと思います。ウェアはそろそろ冬物が安くなるので、2月3月が安く買うチャンスです。

なお、夏以外の季節は基本的に雪山となり、エキスパートだけの世界ですからここでは触れません。冬の富士山は5合目までしか行った事無いですし。

富士山は寒い山です

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説明は要らないような気もしますが一応。標高は3776m、日本の最高峰です。戦前は日本が統治していた台湾の玉山(当時の名前は新高山)が最高峰でしたが、現在は富士山が最高峰となっています。

気温は標高が100m上がると0.6℃下がりますから、例えば8月で標高0m地点の気温が30℃だとすると富士山の山頂気温は『30-0.6*37.76=7.344』になります。単に登っただけで気温は7℃になってしまうのです。下界の気温からおよそ22℃低くなります。

更に、風が吹くと風速1mにつき体感温度が1℃下がります。富士山は独立峰のため1年中強風が吹いてますので、例えば風速10mの風が吹いていれば体感温度は10℃下がります。となると、気温が7.3℃で10mの風が吹いていれば体感温度は-2.7℃となります。

2013/07/21の伊豆の最低気温(普通は明け方)は22℃でした。ここから10mの風が吹いている富士山山頂の体感温度を計算すると、気温がおよそ0℃、体感温度は-10℃となります。もはや冬山の寒さです。

富士山は寒い、地上と比べて体感で30℃以上寒いという事を覚えておいて下さい。


どんな服装が必要なのか?

とにかく寒いわけですから防寒具は外せません。たまに超軽装の欧米人なんかもいますが、あの人達と僕らアジア人は体の作りが違いますから真似してはいけません。

登山ウェアはまともに買うと万札がバサバサ飛び立っていきますが、幸い今時は安くて軽くて良いウェアがあります。

装備やウェアは『最悪の状況でも生き延びられる』というのが前提条件になります。たまたま天気がいい日に軽装やふざけた格好(リクルートスールとか)で登れたとしても、次回同じ服装で登れるとは限りません。くれぐれも山を舐めないように気をつけましょう。

1.下着
理想を言えば登山用具メーカーの速乾性ドライレイヤーとなりますが、全身分揃えるとなかなかの値段になってしまいます。
参考:ファイントラック ドライレイヤー

富士山に登った後も山に登るのなら良い物を買った方がいいと思いますが、そうでないならユニクロなどでタイツや肌着を買うといいでしょう。ポイントは綿製品を避ける事。綿は濡れたら着たまま乾かすことが出来ません。普通の化学繊維やウールなど綿製品以外のものを選んでください。シャツは長袖、下はくるぶしまであるタイツが良いでしょう。



2.防寒具
これも登山メーカーのものがいいのは言うまでもないのですが、僕はユニクロのウルトラライトダウンを山でも使っています(当サイトでの紹介記事)。軽くてコンパクトになるし、ポケットにファスナーが付いてるので使いやすいです。ダウンジャケットを着ると動いている時は暑すぎるかも知れません。そんな時はフリースもいいでしょう。フリースもユニクロなどの安い奴で十分ですが、登山具メーカーのものは細かい所まで作り込まれていて動きやすさが違います。



3.トレッキングパンツ
ジャージでいいです。タイツの上にジャージ、その上にレインウェアのパンツを履けば凍えることは無いんじゃないかと思います。多分。ジャージは防風性がないのですが、上にレインウェアを履けば問題ありません。



ジーンズは綿なので山で履くやめましょう。丈夫なのは良いのですが、濡れると乾きません。パンツも綿以外のものを選んでください。

4.アウター
レインウェアで十分です。冬山ではハードシェルと呼ばれる、冬の寒さに最適化されたウェアを着たりしますが、上下で安くて6万円、高いと10万円を軽く超えてきます。そこまでの装備は富士山では必要ありませんのでレインウェアで十分です。選ぶポイントは、上下セパレートタイプで透湿性がある素材を使っていること。

富士山は風が強く、下から雨が吹き上がってくることもありますからレインコートでは濡れてしまいます。パンツタイプの雨具でないと対応出来ません。レインウェアも値段はピンキリで、高い方が快適です。



5.手袋
富士山は岩場や鎖場もありますし、ご来光の為に暗いうちに登るのであれば手袋は必須です(寒いから)。軍手でもいいのですが、軍手は綿製品ですから濡れると乾きません。やはりフリース素材や防水素材の手袋があるといいでしょう。化学繊維の手袋を持っているのならそれでOKです。



6.帽子
日差しが強い時はハットが心強いです。ゴアテックスを使った防水タイプの帽子なんかもあります。風のことを考えると紐は付いていた方が良いでしょう。せっかくの帽子が飛ばされたら悲しいですからね。



7.スパッツ
簡単に言うと、ズボンの裾を覆うカバーです。砂走りでは靴に砂が入るのを防いでくれますし、雨の場合は水が入るのを防いでくれます。雨の場合はスパッツを着けた上にアウターのズボンを履きます。じゃないと雨が沁みてきます(雪山の場合はアウターの上にスパッツを着けます)。

雨の場合:トレッキングパンツ、スパッツ、レインウェア(アウター)
雪の場合:トレッキングパンツ、レインウェア(アウター)、スパッツ

となります。



ウェアのまとめ
以上の様に、寒さと雨の対策を考えてウェアを選びます。タイツやダウンジャケット、フリース、ジャージなどは家にあるもので十分で、新しく買う必要はありません。綿素材を避ければ問題無いかと思います。防水透湿素材のレインウェアは持ってない人が多いと思います。安いのを買うか、モンベル辺りの手頃なものを買うか、最近は登山道具のレンタルもあるので借りるのもいいかと思います。

参考に僕の場合は、一番下にファイントラックのドライレイヤー長袖とタイツ。長袖のTシャツ、フリース、ダウンジャケット、下はトレッキングパンツ、一番外側にレインウェアという構成でした。上が5枚重ね、下は3枚重ねです。これくらい着れば明け方の寒さでも夜間登山でも凍えることはないと思います。逆に、日中は暑くなるので汗をかかないように調整してください。

どんな装備が必要なのか?

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衣類があれば凍死することはありませんが、もうちょい道具が必要です。

1.靴
まずは靴。これはちゃんとした登山靴を買った方がいいと思います。しっかりと自分に合うトレッキングシューズ(軽登山靴)を買いましょう。雨にも対応出来るようにGORE-TEXを使ったものを選ぶと快適です。

登山用具店の靴コーナーで試着して買う事をおすすめします。その際、デザイン的に気に入らない靴が足にフィットすることがあります。そんな場合はデザインには目をつぶって足に合う靴を買って下さい。じゃないと山で後悔することになります。



2.ルックザック(略してザック)
一般的には30リットル程度を勧められますが、富士山の場合は荷物のほとんどがウェアなので、それを着ちゃえば荷物は少なくなります。うまくパッキング出来るなら20リットル程度で入る気もします。ただし、パッキングも技術なので下手だとコンパクトにパッキング出来ませんし、安いレインウェアなどを買うとそんなに小さくたためません(良いやつは小さくたためます)。なので30リットルくらいが無難っちゃ無難なんでしょう。

ザックも色々ありますが、カリマーは生地が厚く耐久性が高いです。ポケットも多く使い勝手がいいです。グレゴリーは背負い心地が良いのですが、生地が薄かったりベルトが細くて頼りない感じがあります。

ザックは容量の他に背面長(背中の長さ)でサイズが決まっています。お店で買う時は店員さんに背面長を計ってもらい、合うサイズを選んでください。



ザックを買ったら、防水ザックでない限りレインカバーも買いましょう。でないと雨が降った時に荷物が全部濡れちゃいます。ザックによってはレインカバーが付いている場合もあるので買う時に確認しましょう。

3.ストック
ストックは無くても良いのですが、あるとちょっと楽になります。ダブルストックである必要はなく、1本で十分です。最近は2本組のもありますので、2本買ったら友達に貸してあげると良いでしょう。僕はSINANOのヘリノックスLBB-120を愛用しています。ポイントは軽さと収納時の短さです。

最近は安いカーボンストックなんかもありますが、品質はよくわかりませんのでレビューなどをよく読んで判断して下さい。



よく5合目などで売ってる木の杖(金剛杖)を買う人がいますが、あれは重いし長いし、家に帰ってきたら邪魔以外のなにものでもないのであんまりお勧めしません。あれを使って山頂まで登るとか、明らかに苦行でしょ。

4.ヘッドランプ
日中登山にしろご来光登山にしろ必須装備です。山では何が起こるか判りませんので、日帰りだろうが低山だろうがヘッドランプは必須装備です。以前、夜中の富士山でヘッドランプ無しのパーティー(多分家族)がいました。いくら富士山でも自殺行為です。見えない足元で岩を落とせば下の人が怪我します。大変危険なのでライト無しで山を登るのはやめましょう。



ペツルのヘッドランプは非常に明るいのですが、電池が単四3本で充電が面倒くさいです。モンベルのは単三1本ですし、スイッチオンで付くのが電球色のやさしい光です。これは実際にヘッドランプを使う事が多い山小屋での生活で便利ですのでお勧めです(小屋では明るすぎない方が便利なので)。手で持つ懐中電灯を使ってる人も見かけますが、鎖場や岩場で片手が塞がってると危ないですし、落とすと回収不能な場所もありますのでヘッドランプを使った方がいいと思います。

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5.サングラス
日中は日差しが強烈なので必要です。晴れていると目をやられます。砂埃を防ぐ意味でも目を覆うタイプのサングラスが良いでしょう。買う時はちゃんとUVカットしてくれるのか確認しましょう。



6.その他小物
ティッシュペーパー、マスク、タオル、着替え、救急セット、日焼け止め、リップクリーム、地図、コンパス、カメラなどがあると良いでしょう。着替えは下山後にお風呂に入るなら必要ですし、雨や汗で下着がどうしようも無く濡れてしまったら着替えた方が良いです。マスクは、主に下山時、須走ルートの砂走りや御殿場ルートの大砂走りで必要です。乾燥している場合は砂埃が半端無いので、マスクをしてないと鼻の中が真っ黒になってしまいます。

日焼け止めとリップクリームも、塗ってないと後で痛い目に遭います。地図とコンパスは、まず道に迷うことがない(標識多いし人も多いので)のですが、いざ遭難した時に持ってないと非難されがちなので持ってた方が良いでしょう。拙作のDIY GPSを使ってくれてもよくってよ?

http://diygps.net/



救急セットは消毒液、絆創膏、三角巾、テーピング辺り。なお、本当に怪我をしたら無理せず助けを呼びましょう。あと、サバイバルシートなんかも持っておくといざというとき安心です。



飲食物

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富士山は山小屋が多く、飲み物も食べ物もお金さえ出せばいくらでも買えます。物価は下界の5倍くらいです。水が500mlで500円とか。カップ麺が400円だっけ。なんか悔しいので、僕は水も食べ物も全部担いで登ります。

水は2リットルもあれば買わずに登って降りてこられると思います。食べ物は温かいものがあれば嬉しいのですが、その為にはガスコンロやコッヘル(鍋)などを持っていかないとならないので面倒です(僕は持って行ってますが)。

サーモスにお湯を入れていくのもいいでしょう。寒い所で飲む白湯は最高の美味しさです。



チョコレートや飴、羊羹、あんパンなども良いのですが、甘い物ばかりだと口が飽きてしまいます。煎餅や柿乃種、おかず系の惣菜パンなどがあると良いでしょう。成人男性なら全部で3,000kcalくらいあると保つと思います(※)。嵩張らず、軽くて食べやすく高カロリーってのが山で食べる物の条件です。

※小屋に泊まらない場合。泊まって食事を取るならもうちょい少なくても大丈夫だと思います




こういったお湯などを使わずにすぐ食べられる食べ物を『行動食』と呼びます。行動食は休憩のたびに少量ずつこまめに取るのが基本です。水やお湯も少しずつこまめに飲みましょう。体内の水分が抜けると高度障害も出やすいです。

その他色々情報

服装、装備、行動食などはここまで書いた情報を元に自分なりにアレンジしてください。そんなにお金を掛けなくても登れますが、やっぱり良い装備は快適です。良い装備を買った場合はしっかり登山にはまって元を取りましょうw。

最後に、富士登山についてミニ情報をいくつか。

・超混みます
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今に始まったことではないのですが、凄まじく混みます。休日の竹下通りや渋谷以上です。仲間とはぐれたら再会するのはかなり難しいです。はぐれない様に気をつけましょう。はぐれた場合は鳥居のとこに集合とか場所を決めておきましょう。携帯の電波は大抵届きますが、通話よりメールなどの方が良いと思います。

・高度障害を起こさないコツ
標高が3000mくらいになると人によっては高山病の症状が出てきます。頭が痛い、だるい、酷いと動けなくなります。そうならない為には、深くゆっくりと深呼吸をすることです。息が切れない程度のゆっくりペースで登る事を心がけましょう。苦しくなったら休憩して深呼吸。深く息を吸って数秒止めて全て吐き出す、というのを繰り返します。腹式呼吸を意識して肺の中の空気を全部入れ換えるつもりで呼吸しましょう。

5合目での行動も重要です。早めに着くようにして、着いたらお土産物屋を廻るとか食堂でご飯を食べるとか、3,4時間は5合目でブラブラして過ごしましょう。そうすれば多少高地順応が出来ます。

あとは水分をちゃんと取る事、休める時はしっかり休むことも大事です。無理のない余裕のある行動をするようにしてください。酸素が3割減るのなら、3割ゆっくり行動すればいいんです。時間も3割余計に掛かりますが、高度障害が出るよりはマシです。

それでも高度障害が出たのなら、無理せず下山して下さい。山はまた登れます。

・酸素缶は無意味です
酸素のスプレー缶ってのが売ってますが、気休め以上の意味はありません。荷物が増えるだけなので持たない方が良いと思います。しっかり呼吸すれば酸素缶なんて必要ありませんし、高度障害が出てしまったのなら酸素缶を吸う前にとっとと下山した方が良いでしょう。

それでもお守りとして持ちたいというのなら止めません。コンパクトで容量が多い物を選んでください。



・ゆっくり登りましょう&前日や移動中はちゃんと寝ましょう
これも高度障害を起こさないため、無事に帰ってくるために必要な事です。ずっとトレランをやってるような人ならともかく、普通の人はゆっくり登らないと簡単に高山病になってしまいます。一歩一歩ゆっくり登りましょう。

また、前日はきちんと寝ておき、移動中も寝られるなら寝ましょう。遠足気分でウキウキして眠れないかも知れませんが、目を閉じてるだけでも体と頭は休まります。

・1人で行かない
夏の富士山はリア充が多めで、1人で登ってると寂しくて死にそうになります。絶対に友達や彼女、彼氏、家族と行きましょう。一緒に富士山に登った思い出は何年経っても色褪せません。

・練習登山をしておきましょう
登山初心者だと登山そのものがどんなものか判ってないと思います。計画を立てて、その計画通り安全に登山を遂行する練習を本番の富士山までに2,3回やっておきましょう。

関東なら高尾山、筑波山、奥多摩の日の出山とか高水三山あたりでしょうか。高尾山と筑波山は失敗してもロープウェイやケーブルカーで帰れるので安心です。

体力、装備、性別、年齢、登山経験などがバラバラの人間が複数で登頂という一つの目標を達成するのはなかなか大変な事です。計画を作ってもその通りに行動するのはかなり難しいです。各人のレベルを見極める意味でも練習登山は必要です。辛そうにしていたら荷物を持ってあげるとか、荷物を少なくするように指導するとか出来ますから。

・無理はしないこと
最後に。無理しないことが大事です。特に家族やカップルで行く場合、だいたい女性や子供がへばります。そこで無理をさせると将来に禍根を残します。そんな時はやさしく介抱して無理をさせずに撤退という判断も必要になります。そこでうまく対応出来ればポイント高いです。登山の目的はなんなのかをよく考えましょう。

『大事なのは登頂ですか?それとも、家族や友達、恋人との思い出ですか?』

登頂が失敗してもしばらくすれば良い思い出になります。そこで不機嫌になったりケンカしたりしたら最悪の記憶しか残りません。楽しい思い出の為に、ニコニコと撤退の判断をする事も必要です。どうしても登りたいのなら、体力がある親父が家族の荷物を全部背負ったらいいんだよ!

まとめ

正直、夏の富士山って登山道は地味だし混んでるし山小屋の人はなんか冷たいし、登って楽しい山ではありません。ただ、山としての面白みはありませんが行動時間が長いので仲間との思い出は残ります。一緒に富士山に登った思い出は素晴らしい財産になるでしょう(だから喧嘩などしないように!あと、一人で行かないように!)。

登山って、装備や交通費、山小屋に泊まるのなら宿泊費も掛かります。時間、労力も必要です。登ってる間は苦しくて仕方ありません。それでも登りたい魅力が山にはあるんですよね。こればっかりは、登ってみないと判らないと思います。


posted by マツモトケイジ at 20:05| 登山情報