2014年06月19日

地図の登山道について




地図の登山道は結構間違っています

DIY GPSのテストとトレーニングを目的として鳳凰三山に登ってきました。歩行中のログを取りましたが、地図の登山道とはかなりずれていました。

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クリックすると拡大します。

黒い線が地図(これは山旅倶楽部)の登山道で、赤いのがGPSログです。この様に地図の登山道はGPSログの結果と比べるとかなり違う事が判ります。GPSログの精度は半径5m〜10mでしたのでかなり正確です。それでこれだけずれるわけですから、地図の登山道が間違っている(あるいは測量当時と変わった)と言えます。

鳳凰小屋に向かう登山道の『白糸の滝』周辺は地図とGPSでかなりずれがあります。ここは新しい道が出来ていました。ただ、少なくとも4年前には変わっていました。そういう変更はこの地図には反映されていないということになります。

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ここの登山道変更は2014年版山と高原地図でも反映されていません。2010年に通った時はすでに違う道になっていましたので少なくとも4年は放置されている事になります。登山道の形については国土地理院の地図を元にしている地図は全て情報が更新されていないようです。

あとついでに細かい突っ込みをすると、山と高原地図アプリはログの線をかなり太く描きます。必要以上に太いです。これ、おそらく実際のGPSログと登山道がかなりずれている事を自覚しているからです。線が細いとずれが目立つので太くしているのでしょう(これで設定は『普通の太さ』です)。あんまりスマートなやり方とは思えません。

ポイントの位置が違う場合もあります

また、薬師岳から伸びる中道の途中には御座石(ございし)という岩があります。山と高原地図アプリの画面で見るとカクッと曲がった場所にあります(画面中央やや右下)。

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こういう岩です。標識にも御座石と書かれています。

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この御座石ですが、実際はもう少し上の方にあります。

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GPSの表示、ログ、写真を撮った時間で確認しました。山と高原地図の位置とはかなり違います。では山と高原地図や山旅倶楽部の地図がおかしいのはなぜなのかと言えば、元の地図である国土地理院の地図に描かれている登山道が現状と違うからです。

そもそも国土地理院の地図が違う

国土地理院の地理院地図をカシミール3Dで表示し、GPSログを重ねました。赤い線がGPSログです。

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赤い線がGPSログで黒い点線が地図の登山道です。ずれてますね。山と高原地図は国土地理院の地図を元にしていますので(地図にそう書いてあります)、当然登山道もずれるわけです。御座石の位置が間違っているのは昭文社の問題でしょうけど。山と高原地図の画面に国土地理院の地図を重ねると、登山道の表記がピッタリ一致し、同様にずれています。

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見づらいですが、紫の線と黒い点線が重なっています。

つまり、地図に載っている登山道やポイントの位置は実際と違う場合が多々あります。これは南アルプスの一部分ですが、奥多摩でも八ヶ岳でもずれている場所はいくらでもあり、正しいのは『精度が高い状態のGPS』です。登山道の表示についてはかなりの間違いがあることを覚えておいて下さい。

しかし、国土地理院の地図はともかく、毎年改訂版を出す山と高原地図は現地の調査員がこういう間違いを直していかないといけないと思います。じゃないと改訂版の意味がないですよね。GPSを使えば登山道の記録なんて簡単に出来るわけですし、御座石の位置はもうずっと間違ったままです(少なくとも4年前から)。いかがなものかと思います。

まとめ

・地図の登山道は結構間違っているのでGPSの現在地と道がずれていても慌ててはいけません。
・ポイントの位置もずれている事があります。
・GPSの現在地表示は『精度』を見て信憑性を判断して下さい。
・地図もGPSも過信は禁物です。
posted by マツモトケイジ at 09:19| 登山情報

2014年01月13日

富士登山に必要な装備と情報

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今年の夏は富士山に登るぞ!という登山未経験者、または初心者の方もいると思います。という事で、富士山とはどういう山なのか?どういう装備や準備が必要なのか?を書いてみたいと思います。ウェアはそろそろ冬物が安くなるので、2月3月が安く買うチャンスです。

なお、夏以外の季節は基本的に雪山となり、エキスパートだけの世界ですからここでは触れません。冬の富士山は5合目までしか行った事無いですし。

富士山は寒い山です

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説明は要らないような気もしますが一応。標高は3776m、日本の最高峰です。戦前は日本が統治していた台湾の玉山(当時の名前は新高山)が最高峰でしたが、現在は富士山が最高峰となっています。

気温は標高が100m上がると0.6℃下がりますから、例えば8月で標高0m地点の気温が30℃だとすると富士山の山頂気温は『30-0.6*37.76=7.344』になります。単に登っただけで気温は7℃になってしまうのです。下界の気温からおよそ22℃低くなります。

更に、風が吹くと風速1mにつき体感温度が1℃下がります。富士山は独立峰のため1年中強風が吹いてますので、例えば風速10mの風が吹いていれば体感温度は10℃下がります。となると、気温が7.3℃で10mの風が吹いていれば体感温度は-2.7℃となります。

2013/07/21の伊豆の最低気温(普通は明け方)は22℃でした。ここから10mの風が吹いている富士山山頂の体感温度を計算すると、気温がおよそ0℃、体感温度は-10℃となります。もはや冬山の寒さです。

富士山は寒い、地上と比べて体感で30℃以上寒いという事を覚えておいて下さい。


どんな服装が必要なのか?

とにかく寒いわけですから防寒具は外せません。たまに超軽装の欧米人なんかもいますが、あの人達と僕らアジア人は体の作りが違いますから真似してはいけません。

登山ウェアはまともに買うと万札がバサバサ飛び立っていきますが、幸い今時は安くて軽くて良いウェアがあります。

装備やウェアは『最悪の状況でも生き延びられる』というのが前提条件になります。たまたま天気がいい日に軽装やふざけた格好(リクルートスールとか)で登れたとしても、次回同じ服装で登れるとは限りません。くれぐれも山を舐めないように気をつけましょう。

1.下着
理想を言えば登山用具メーカーの速乾性ドライレイヤーとなりますが、全身分揃えるとなかなかの値段になってしまいます。
参考:ファイントラック ドライレイヤー

富士山に登った後も山に登るのなら良い物を買った方がいいと思いますが、そうでないならユニクロなどでタイツや肌着を買うといいでしょう。ポイントは綿製品を避ける事。綿は濡れたら着たまま乾かすことが出来ません。普通の化学繊維やウールなど綿製品以外のものを選んでください。シャツは長袖、下はくるぶしまであるタイツが良いでしょう。



2.防寒具
これも登山メーカーのものがいいのは言うまでもないのですが、僕はユニクロのウルトラライトダウンを山でも使っています(当サイトでの紹介記事)。軽くてコンパクトになるし、ポケットにファスナーが付いてるので使いやすいです。ダウンジャケットを着ると動いている時は暑すぎるかも知れません。そんな時はフリースもいいでしょう。フリースもユニクロなどの安い奴で十分ですが、登山具メーカーのものは細かい所まで作り込まれていて動きやすさが違います。



3.トレッキングパンツ
ジャージでいいです。タイツの上にジャージ、その上にレインウェアのパンツを履けば凍えることは無いんじゃないかと思います。多分。ジャージは防風性がないのですが、上にレインウェアを履けば問題ありません。



ジーンズは綿なので山で履くやめましょう。丈夫なのは良いのですが、濡れると乾きません。パンツも綿以外のものを選んでください。

4.アウター
レインウェアで十分です。冬山ではハードシェルと呼ばれる、冬の寒さに最適化されたウェアを着たりしますが、上下で安くて6万円、高いと10万円を軽く超えてきます。そこまでの装備は富士山では必要ありませんのでレインウェアで十分です。選ぶポイントは、上下セパレートタイプで透湿性がある素材を使っていること。

富士山は風が強く、下から雨が吹き上がってくることもありますからレインコートでは濡れてしまいます。パンツタイプの雨具でないと対応出来ません。レインウェアも値段はピンキリで、高い方が快適です。



5.手袋
富士山は岩場や鎖場もありますし、ご来光の為に暗いうちに登るのであれば手袋は必須です(寒いから)。軍手でもいいのですが、軍手は綿製品ですから濡れると乾きません。やはりフリース素材や防水素材の手袋があるといいでしょう。化学繊維の手袋を持っているのならそれでOKです。



6.帽子
日差しが強い時はハットが心強いです。ゴアテックスを使った防水タイプの帽子なんかもあります。風のことを考えると紐は付いていた方が良いでしょう。せっかくの帽子が飛ばされたら悲しいですからね。



7.スパッツ
簡単に言うと、ズボンの裾を覆うカバーです。砂走りでは靴に砂が入るのを防いでくれますし、雨の場合は水が入るのを防いでくれます。雨の場合はスパッツを着けた上にアウターのズボンを履きます。じゃないと雨が沁みてきます(雪山の場合はアウターの上にスパッツを着けます)。

雨の場合:トレッキングパンツ、スパッツ、レインウェア(アウター)
雪の場合:トレッキングパンツ、レインウェア(アウター)、スパッツ

となります。



ウェアのまとめ
以上の様に、寒さと雨の対策を考えてウェアを選びます。タイツやダウンジャケット、フリース、ジャージなどは家にあるもので十分で、新しく買う必要はありません。綿素材を避ければ問題無いかと思います。防水透湿素材のレインウェアは持ってない人が多いと思います。安いのを買うか、モンベル辺りの手頃なものを買うか、最近は登山道具のレンタルもあるので借りるのもいいかと思います。

参考に僕の場合は、一番下にファイントラックのドライレイヤー長袖とタイツ。長袖のTシャツ、フリース、ダウンジャケット、下はトレッキングパンツ、一番外側にレインウェアという構成でした。上が5枚重ね、下は3枚重ねです。これくらい着れば明け方の寒さでも夜間登山でも凍えることはないと思います。逆に、日中は暑くなるので汗をかかないように調整してください。

どんな装備が必要なのか?

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衣類があれば凍死することはありませんが、もうちょい道具が必要です。

1.靴
まずは靴。これはちゃんとした登山靴を買った方がいいと思います。しっかりと自分に合うトレッキングシューズ(軽登山靴)を買いましょう。雨にも対応出来るようにGORE-TEXを使ったものを選ぶと快適です。

登山用具店の靴コーナーで試着して買う事をおすすめします。その際、デザイン的に気に入らない靴が足にフィットすることがあります。そんな場合はデザインには目をつぶって足に合う靴を買って下さい。じゃないと山で後悔することになります。



2.ルックザック(略してザック)
一般的には30リットル程度を勧められますが、富士山の場合は荷物のほとんどがウェアなので、それを着ちゃえば荷物は少なくなります。うまくパッキング出来るなら20リットル程度で入る気もします。ただし、パッキングも技術なので下手だとコンパクトにパッキング出来ませんし、安いレインウェアなどを買うとそんなに小さくたためません(良いやつは小さくたためます)。なので30リットルくらいが無難っちゃ無難なんでしょう。

ザックも色々ありますが、カリマーは生地が厚く耐久性が高いです。ポケットも多く使い勝手がいいです。グレゴリーは背負い心地が良いのですが、生地が薄かったりベルトが細くて頼りない感じがあります。

ザックは容量の他に背面長(背中の長さ)でサイズが決まっています。お店で買う時は店員さんに背面長を計ってもらい、合うサイズを選んでください。



ザックを買ったら、防水ザックでない限りレインカバーも買いましょう。でないと雨が降った時に荷物が全部濡れちゃいます。ザックによってはレインカバーが付いている場合もあるので買う時に確認しましょう。

3.ストック
ストックは無くても良いのですが、あるとちょっと楽になります。ダブルストックである必要はなく、1本で十分です。最近は2本組のもありますので、2本買ったら友達に貸してあげると良いでしょう。僕はSINANOのヘリノックスLBB-120を愛用しています。ポイントは軽さと収納時の短さです。

最近は安いカーボンストックなんかもありますが、品質はよくわかりませんのでレビューなどをよく読んで判断して下さい。



よく5合目などで売ってる木の杖(金剛杖)を買う人がいますが、あれは重いし長いし、家に帰ってきたら邪魔以外のなにものでもないのであんまりお勧めしません。あれを使って山頂まで登るとか、明らかに苦行でしょ。

4.ヘッドランプ
日中登山にしろご来光登山にしろ必須装備です。山では何が起こるか判りませんので、日帰りだろうが低山だろうがヘッドランプは必須装備です。以前、夜中の富士山でヘッドランプ無しのパーティー(多分家族)がいました。いくら富士山でも自殺行為です。見えない足元で岩を落とせば下の人が怪我します。大変危険なのでライト無しで山を登るのはやめましょう。



ペツルのヘッドランプは非常に明るいのですが、電池が単四3本で充電が面倒くさいです。モンベルのは単三1本ですし、スイッチオンで付くのが電球色のやさしい光です。これは実際にヘッドランプを使う事が多い山小屋での生活で便利ですのでお勧めです(小屋では明るすぎない方が便利なので)。手で持つ懐中電灯を使ってる人も見かけますが、鎖場や岩場で片手が塞がってると危ないですし、落とすと回収不能な場所もありますのでヘッドランプを使った方がいいと思います。

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5.サングラス
日中は日差しが強烈なので必要です。晴れていると目をやられます。砂埃を防ぐ意味でも目を覆うタイプのサングラスが良いでしょう。買う時はちゃんとUVカットしてくれるのか確認しましょう。



6.その他小物
ティッシュペーパー、マスク、タオル、着替え、救急セット、日焼け止め、リップクリーム、地図、コンパス、カメラなどがあると良いでしょう。着替えは下山後にお風呂に入るなら必要ですし、雨や汗で下着がどうしようも無く濡れてしまったら着替えた方が良いです。マスクは、主に下山時、須走ルートの砂走りや御殿場ルートの大砂走りで必要です。乾燥している場合は砂埃が半端無いので、マスクをしてないと鼻の中が真っ黒になってしまいます。

日焼け止めとリップクリームも、塗ってないと後で痛い目に遭います。地図とコンパスは、まず道に迷うことがない(標識多いし人も多いので)のですが、いざ遭難した時に持ってないと非難されがちなので持ってた方が良いでしょう。拙作のDIY GPSを使ってくれてもよくってよ?

http://diygps.net/



救急セットは消毒液、絆創膏、三角巾、テーピング辺り。なお、本当に怪我をしたら無理せず助けを呼びましょう。あと、サバイバルシートなんかも持っておくといざというとき安心です。



飲食物

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富士山は山小屋が多く、飲み物も食べ物もお金さえ出せばいくらでも買えます。物価は下界の5倍くらいです。水が500mlで500円とか。カップ麺が400円だっけ。なんか悔しいので、僕は水も食べ物も全部担いで登ります。

水は2リットルもあれば買わずに登って降りてこられると思います。食べ物は温かいものがあれば嬉しいのですが、その為にはガスコンロやコッヘル(鍋)などを持っていかないとならないので面倒です(僕は持って行ってますが)。

サーモスにお湯を入れていくのもいいでしょう。寒い所で飲む白湯は最高の美味しさです。



チョコレートや飴、羊羹、あんパンなども良いのですが、甘い物ばかりだと口が飽きてしまいます。煎餅や柿乃種、おかず系の惣菜パンなどがあると良いでしょう。成人男性なら全部で3,000kcalくらいあると保つと思います(※)。嵩張らず、軽くて食べやすく高カロリーってのが山で食べる物の条件です。

※小屋に泊まらない場合。泊まって食事を取るならもうちょい少なくても大丈夫だと思います




こういったお湯などを使わずにすぐ食べられる食べ物を『行動食』と呼びます。行動食は休憩のたびに少量ずつこまめに取るのが基本です。水やお湯も少しずつこまめに飲みましょう。体内の水分が抜けると高度障害も出やすいです。

その他色々情報

服装、装備、行動食などはここまで書いた情報を元に自分なりにアレンジしてください。そんなにお金を掛けなくても登れますが、やっぱり良い装備は快適です。良い装備を買った場合はしっかり登山にはまって元を取りましょうw。

最後に、富士登山についてミニ情報をいくつか。

・超混みます
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今に始まったことではないのですが、凄まじく混みます。休日の竹下通りや渋谷以上です。仲間とはぐれたら再会するのはかなり難しいです。はぐれない様に気をつけましょう。はぐれた場合は鳥居のとこに集合とか場所を決めておきましょう。携帯の電波は大抵届きますが、通話よりメールなどの方が良いと思います。

・高度障害を起こさないコツ
標高が3000mくらいになると人によっては高山病の症状が出てきます。頭が痛い、だるい、酷いと動けなくなります。そうならない為には、深くゆっくりと深呼吸をすることです。息が切れない程度のゆっくりペースで登る事を心がけましょう。苦しくなったら休憩して深呼吸。深く息を吸って数秒止めて全て吐き出す、というのを繰り返します。腹式呼吸を意識して肺の中の空気を全部入れ換えるつもりで呼吸しましょう。

5合目での行動も重要です。早めに着くようにして、着いたらお土産物屋を廻るとか食堂でご飯を食べるとか、3,4時間は5合目でブラブラして過ごしましょう。そうすれば多少高地順応が出来ます。

あとは水分をちゃんと取る事、休める時はしっかり休むことも大事です。無理のない余裕のある行動をするようにしてください。酸素が3割減るのなら、3割ゆっくり行動すればいいんです。時間も3割余計に掛かりますが、高度障害が出るよりはマシです。

それでも高度障害が出たのなら、無理せず下山して下さい。山はまた登れます。

・酸素缶は無意味です
酸素のスプレー缶ってのが売ってますが、気休め以上の意味はありません。荷物が増えるだけなので持たない方が良いと思います。しっかり呼吸すれば酸素缶なんて必要ありませんし、高度障害が出てしまったのなら酸素缶を吸う前にとっとと下山した方が良いでしょう。

それでもお守りとして持ちたいというのなら止めません。コンパクトで容量が多い物を選んでください。



・ゆっくり登りましょう&前日や移動中はちゃんと寝ましょう
これも高度障害を起こさないため、無事に帰ってくるために必要な事です。ずっとトレランをやってるような人ならともかく、普通の人はゆっくり登らないと簡単に高山病になってしまいます。一歩一歩ゆっくり登りましょう。

また、前日はきちんと寝ておき、移動中も寝られるなら寝ましょう。遠足気分でウキウキして眠れないかも知れませんが、目を閉じてるだけでも体と頭は休まります。

・1人で行かない
夏の富士山はリア充が多めで、1人で登ってると寂しくて死にそうになります。絶対に友達や彼女、彼氏、家族と行きましょう。一緒に富士山に登った思い出は何年経っても色褪せません。

・練習登山をしておきましょう
登山初心者だと登山そのものがどんなものか判ってないと思います。計画を立てて、その計画通り安全に登山を遂行する練習を本番の富士山までに2,3回やっておきましょう。

関東なら高尾山、筑波山、奥多摩の日の出山とか高水三山あたりでしょうか。高尾山と筑波山は失敗してもロープウェイやケーブルカーで帰れるので安心です。

体力、装備、性別、年齢、登山経験などがバラバラの人間が複数で登頂という一つの目標を達成するのはなかなか大変な事です。計画を作ってもその通りに行動するのはかなり難しいです。各人のレベルを見極める意味でも練習登山は必要です。辛そうにしていたら荷物を持ってあげるとか、荷物を少なくするように指導するとか出来ますから。

・無理はしないこと
最後に。無理しないことが大事です。特に家族やカップルで行く場合、だいたい女性や子供がへばります。そこで無理をさせると将来に禍根を残します。そんな時はやさしく介抱して無理をさせずに撤退という判断も必要になります。そこでうまく対応出来ればポイント高いです。登山の目的はなんなのかをよく考えましょう。

『大事なのは登頂ですか?それとも、家族や友達、恋人との思い出ですか?』

登頂が失敗してもしばらくすれば良い思い出になります。そこで不機嫌になったりケンカしたりしたら最悪の記憶しか残りません。楽しい思い出の為に、ニコニコと撤退の判断をする事も必要です。どうしても登りたいのなら、体力がある親父が家族の荷物を全部背負ったらいいんだよ!

まとめ

正直、夏の富士山って登山道は地味だし混んでるし山小屋の人はなんか冷たいし、登って楽しい山ではありません。ただ、山としての面白みはありませんが行動時間が長いので仲間との思い出は残ります。一緒に富士山に登った思い出は素晴らしい財産になるでしょう(だから喧嘩などしないように!あと、一人で行かないように!)。

登山って、装備や交通費、山小屋に泊まるのなら宿泊費も掛かります。時間、労力も必要です。登ってる間は苦しくて仕方ありません。それでも登りたい魅力が山にはあるんですよね。こればっかりは、登ってみないと判らないと思います。


posted by マツモトケイジ at 20:05| 登山情報

2013年12月06日

昭文社 山と高原地図

今回紹介するのは、昭文社の「山と高原地図」です。本屋さんでもよく見かける登山用地図ですね。1枚945円。なかなかのお値段です。古い山屋さんだと「エアリア地図」なんて呼んでたりします(昔そういう名前だったらしい)。



日本全国に散らばる調査員がメジャーな山域を実地調査した結果をまとめ、登山道の細かい情報まで載っています。全部で59種類あります。

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コースタイム、ランドマーク、道の状況などが細かく載っていて、読図初心者でも見やすく出来ています。尾根や谷には陰影があり、単なる等高線の地図よりも地形をイメージしやすいのも特徴です。地形図には書かれていないような沢の名前や地名がいちいち書かれていて親切です。実地調査は各山域の担当者が行い、1年ごとに最新情報に更新されます。

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毎年買い換える必要もないと思いますが、あんまり古いままだと実際と合っていなかったり、道が通れなくなったりして現地で困ることにもなります(その場合はヤマレコで調べれば事足りる場合が多いと思いますが)。

地図の縮尺は5万分の1で、等高線は20mごとになっています。登山でよく推奨されるのは2万5千分の1の地形図で、こちらの等高線は10mごとになっています。と言うわけで、山と高原地図の場合は標高差17mくらいの小ピークは地図に表現されなかったりします。人間のスケール見るとちょっとした丘が無視される場合があるという事です。

うるさがたの登山者は「高原地図は山で使えない」なんて言ったりもしますが、個人的には無雪期に一般ルートを歩くのなら十分かなと思っています。結局、今どの辺にいて目的地までどのくらいの時間が掛かりそうか?ってのが大事なんですよね。山歩きって。それくらいの用途なら十分使えます。地形を読みながら薮漕ぎをするような人が山と高原地図ではマズイと思いますが、普通に登山道を歩くのなら等高線が10mごとでも20mごとでも大差無いですよ。

素材は耐水性の紙で結構丈夫です。水濡れに強く雨の中で広げても問題ありません。普通の紙で出来てる地形図やパソコンなどでプリントアウトした地図よりも耐久性は高いです。

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情報量が多い地図ですが、端っこに代表的な山頂から見られる山が描かれていて山座同定にも使えます。まぁ、山頂にはこういう石碑があったりするのですが、混んでると見るのも大変ですから地図に載ってるのは便利です。

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あと、ガイドブック的な冊子も付いています。代表的な山の登山コースを文章と写真で紹介していますので、事前に計画を立てる時や道中暇な時間に読むといいかと思われます。

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iPhoneアプリ版もありまして。アプリ自体は無料で地図が1枚500円。紙地図のおよそ半額ですがガイドブックはありません。

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GPSと連動していて現在地がどこか表示されますし、一応GPSログも取れますので山もGPSも初心者という方にはいいアプリだと思います。



さて、「一般ルートなら十分使えます」なんて書いておいてなんですが、僕は山では山と高原地図をほぼ使っていません。なぜかというと、山ではもっぱら拙作DIY GPSを使っているから。DIY GPSには山旅倶楽部の地図を入れています。

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年間2800円で全国の地図が使い放題ですから価格もそれほど高くありません。GPSを使うと地図読みが出来なくなるなんて事を言う人もいますが、GPSでも表示されるのは地形図ですから、地図読みが出来なければ使えません。

単に現在地がどこか判るってだけの話で、どこをどう歩くのかは基本的には人間が地図と実際の地形を見て判断するわけです。GPSにどのくらい頼るのかは使う人次第かなと思います。極力使いたくない人は緊急時以外は紙の地図を使えば良いわけですし。

山で使わないのなら山と高原地図はどこで使うのか?僕は山行計画を立てる時に使っています。

山行計画の作り方

僕が登山を始めた頃、妻はすでに登山経験があり、山行前にはしっかりと計画書を作っていました。それを見ていたので山行計画はしっかり作るものだと思って8年間山に登ってました。

計画の立て方は妻の計画を見たり、自分で作って行く中で覚えたので誰かに教わったものではありません。自己流ですがここに『山行計画の作り方』と題して手順を書いてみたいと思います。

1.登る山を決める
まずは目的地の設定から。これはもう、どこに登りたいのか?という自分の欲求とレベル次第で自由に選びます(もちろん技術的に不足していて危険な山には登りません)。季節や使える日数にもよりますが登りたい山に登るのが一番です。

2.日程、メンバーを決める
山と日程を決めて行ける人を集める事もあれば、山とメンバーが決まっていて、みんなが都合の良い日を選ぶこともあります。

企画者としてリーダーも兼ねるのであれば、パーティーの人数を自分が面倒を見きれる程度に制限する必要があります。もし多くなりすぎた場合はメンバーの中からもう一人(とか二人とか)リーダーを選んで頼んでおく事になります。

なお、民主主義すぎると登山はうまくいきません。特に、安全に関わらない好みの問題で済むような事はリーダーが決めちゃっていいと思います。安全についてはリスクを被る人の希望やリーダーの判断が大事になると思います。なにしろ決断は大変ですが、リーダーならガンガン決断していきましょう。

3.タイムスケジュールを作る
僕はここで山と高原地図を使います。

面倒ですが、きちんとタイムスケジュールを作らないで山に登るのは避けた方がいいと思います。じゃないと、大体後ろにズレて真っ暗な山を歩く事になり大変危険です。

メンバーが決まっていて、大体の体力や技術を把握しているのなら行動時間が予想できます。基準は山と高原地図のコースタイムで、歩くのが遅い人がいればコースタイムの3割増しや5割増しにします。健脚パーティーの場合でも、一度歩いたコースでなければコースタイム程度にしておいた方が無難です。休憩は1時間に5分程度、食事休憩は30分程度など休憩の時間も決めておきます。雪が積もっていればラッセルで時間が掛かる事も予想されますので、そういった条件も直近の記録をヤマレコなどで調べて加味します。

各チェックポイント間の時間と休憩時間が判ったら、それをゴールしたい時刻からマイナスしていきます。例えば15時にゴール(下山や宿泊地への到着)したいのならば、そこから引いていきます。すると、何時に登山口を出ればいいのかわかります。これが早過ぎて辿り着けない時間なのだとしたら、計画に無理があるので見直しが必要です。コースや日程を変えるか、メンバーに頑張らせるか考えます(山では過度に頑張ると怪我をするのでお勧めしません)。

と、いう様な感じで時間を計算して作った山行計画の例を載せます。
春に奥多摩の御前山に登った時に作った計画です。

奥多摩御前山登山計画 『かたくりの花を見に行こう』
■日付 2013/05/05

■行程 歩行時間4時間半
08:30 奥多摩駅集合
08:35 奥09鴨沢西行き
09:00 奥多摩湖着 トイレ有り ダムを渡って登山口へ

09:30 御前山登山口出発
 歩行時間160分 休憩20分
12:30 御前山到着
 休憩30分 避難小屋にトイレ有り

13:00 出発
 歩行時間50分 休憩10分
14:00 栃寄の大滝
 歩行時間60分 休憩10分
15:10 境橋バス停 バスで奥多摩駅へ もえぎの湯で入浴

日没 18:02

■持ち物
・カメラ
・アイゼンは無くてもOK
・行動食と昼食を持参
・雨具、防寒具、ヘッデンは常備
・飲み水 途中に水場はありません(御前山の山頂にあるが春は汚染のため使用不可)
・温泉用タオル、着替え等

■危険箇所
奥多摩湖から御前山への上りは結構急登です。
栃寄の沢沿いの道はロストしやすいので目印に注意。ロストしたら引き返します。
雨天の場合、荒天が予想される場合は中止の連絡をします。

持ち物や危険箇所、日没時間の情報も書いておきます。メンバーによってはウェアや細かい持ち物も書いた方がいい場合もあります。それはケースバイケース。

山によってはエスケープルートを設定しておくことも大事です。時間や体力、怪我などの問題でリタイアする事になった時、迷わずエスケープルートを取れるように考えておきましょう。

行ったことがあって、メンバーも自分と妻だけだったりすると計画書も簡単なものになったりしますが、簡単な山行でも最低限の計画書は作ります。じゃないと行動の判断がしにくいです。
■伊豆ヶ岳登山計画 実施日:2013年11月17日

06:17 葛西駅発
06:33 大手町 乗換 丸ノ内線 06:42発
06:58 池袋 乗換 西武池袋線快速急行長瀞行 07:05発
08:27 正丸着

08:40 正丸駅発
09:10 馬頭観音 09:15発
10:55 伊豆ヶ岳山頂 11:05発
11:30 古御岳
12:05 高畑山 休憩40分 12:45発
13:25 天目指峠(ここから林道にエスケープ可能→西吾野駅へ6km)
14:15 子ノ権現 14:20発
14:55 浅見茶屋
15:30 秩父御岳神社
16:00 吾野駅

電車は15:55、16:08、16:47、17:08など

この計画のように、メンバーで電車の乗換えが同じ場合は電車の乗換えも書いておきます。車の場合は集合場所、レンタカーの割り勘金額など(レンタル代、高速代、ガス代の概算)、宿泊の場合は総額いくらになるのかなど金額も調べて書く事もあります。

形式は作る人によって様々で、妻が作るとこんな感じになります。

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これはスノーシューツアーの部分がペンションのオーナーの案内次第なので空欄になっています。自分でルートを決める場合は細かく調べて書くことになります。

メンバー間で必要な情報を共有出来るのなら形式はどうでもいいと思います。内容の密度も毎回違っていいと思います。特に決まりはありません。

4.配布、共有
作った計画書はメールやSNSでメンバーと共有しておきます。更に親切な場合はプリントして当日配ったりもします。メンバーは計画を受け取ったらちゃんと目を通して、自分は何時に登って何時に降りてくるのかくらい把握しておきましょう。家族がいる場合は計画書のコピーを家族に渡しておくことも大事です。

5.計画通りに実施する
天気など問題が無ければ山行を実施します。出来るだけ計画通りに行動できるように、危険がない程度に急ぎます。色んなリスクを常に天秤に掛けて、より安全な方を取るように頭を働かせる必要があります。登山って頭も使うんです。

登山まで時間に追われたくないという向きもあるでしょうが、山でのタイムオーバーはリスクを増します。計画通りに行動するのも安全登山の一環と考えて、出来るだけ時間を守る努力をしましょう。

と、いう感じで僕は山行計画を作る時だけ山と高原地図を使っています。アプリ版の方が地図が安いのでアプリ版で地図を買って、それを見ながら計画を作っています。そういう使い方には便利な地図だと思います。

そうそう、メンバー用の登山計画書とは別に、登山口のポストに入れる登山計画書も用意して投函しておきましょう。もしもの時に捜索の効率が上がりますので助かる確率も上がります。


posted by マツモトケイジ at 19:02| 登山情報